伝説的ファンタジー小説『十二国記』がマジで大人向けで面白過ぎる件について

本・漫画

こんにちは、関東の中心で孤独をさけんでいるstay home妊婦のパンナです。
話す相手がいないので、散歩中、他人の家の庭の植物と会話しています。

 

さて、「時間ができたらいつか読もうと思っていたリスト」の中のひとつ、『十二国記』をついに読み始めました!

私は、人生の途中で何度も『十二国記』にハマっている人たちに遭遇してきました。

 

バイト先で、就職先で、出会う同僚女子にたまにいる、『十二国記』ファン・・・。

 

あれは大学生のとき、バイト先の社員さん(成人男性、というかおじさん)が熱く『十二国記』への愛を語っているのを聞いて、「少女小説だと思っていたのに、性別はおろか年齢まで超越してファンがいるとは・・・これは普遍性の高い作品なのでは?」と感じたものです。

 

そう、各世代の人々が叫ぶエヴァンゲリオンへの愛のような、そんな普遍性を感じ取ったものでした。

 

そしてアラフォーにしてやっと読んだ少女ファンタジー小説『十二国記』!

はたしてこれは大人こそ楽しめる作品だったのです!!

 

「そのへんの自己啓発本を読むくらいなら十二国記を読め」という噂もうなづける、自己啓発も政治もなんとなく学べちゃう壮大すぎる『十二国記』、解説スタートです!

 

 

 

十二国記の第一章は、弱虫で良い子ちゃんな女子高生が超過酷で死ぬほどつらい目にあって、成長して強くなっていく話

十二国記の舞台は、十二の国からなる中華風の世界。

日本(倭の国)とはだいぶ離れたところにある(語彙力)。

そんな異国の十二国に、日本に住む普通の女子高生陽子が連れてこられちゃうことから『月の影 影の海』は始まる。

 

十二国記はそれぞれの章が読み切りで、主人公はそのたびに変わります。

第一章の『月の影 影の海 上下』は、陽子が主人公のお話。

 

ファンタジーなのに、ふわふわした甘さがゼロ、めちゃ過酷、厳しすぎる試練の連続、ほんとに少女小説なの?といいたくなる、とにかくシリアスなシーンの連続なのです。

都合よく異国の王子様が現れて助けてくれることなんて一切起こらない。

 

だまされ、裏切られ、血反吐を吐きまくるような超絶厳しい環境をたった一人で生き延びるために飢餓状態で妖魔と戦いまくる主人公。

 

●何日も風呂入れない、マジで水も食べ物もない、1円も持ってない

●へとへとだから、野宿で睡眠とろうとしたら人間・妖魔に襲われる

●返り血で汚れた服からは異臭を放ってる

●マジでもう顔を動かす力さえ残ってない

 

こんなファンタジー小説の主人公います?

浮浪者のごとく異臭を放つ、飢餓で瀕死の主人公・・・

 

とにかく恋愛のれの字もなければ、ふわふわお花畑ファンタジーもゼロ、とにかく厳しい、そんな世界線を描く上巻。

 

これを読んだら、どんなに今の自分の苦境に嘆いている人も、「陽子よりマシだわ」と思わされること請け合いです。

 

北朝鮮を彷彿とさせるような国も出てきます。

誰が王様かによって、国ってここまで繁栄したり荒廃したり違いが出るんだなと・・・・

十二国記がそこらへんの自己啓発本よりもよっぽど自己啓発本だといわれる所以。

陽子は異国の地で「日本に戻りたい」と願うんですが、考えてみたらその日本にだって真の友などひとりもおらず、陽子を愛しているひとなど本当にいるのかという状況なんです。

クラスで起こっているイジメだって見て見ぬふりをしてきた陽子。
心許せる本当の友なんていない。
自分がいじめられないことだけを願ってひっそりと生きてきた。

家族だって、それは本当に愛情でつながっているのか、疑問が湧いてくる。。。

 

現世に戻っても地獄、この異国にいても地獄、それならば、誰も私を愛さない・望まないならば、その場所に帰ってやる、生きて帰ってやる、誰にも望まれないならばなおさら生きてやる、そう誓う主人公。

 

誰にも望まれない命なら、私自身が望んでやる!と。

 

人目を気にして、大声で怒ることも自己主張することもなくただ平穏を願って生きてきた女子高生陽子。

その陽子が、人に騙され、妖魔に襲われまくり、死にかけ、だんだんシャープにタフに孤高になっていく様は、まさに荒波に次ぐ荒波を経験して研ぎ澄まされていく人間の成長を見せてくれる。

 

ネタばれはしませんが、その後、さらに陽子は精神力をタフに仕上げていきます・・・

 

『月の影 影の海 下巻』の最後の数ページはまさにカタルシスの嵐!!

短いストーリーのなかに美しさが詰まりすぎていて圧巻です!!!

これから買うなら、新潮社文庫・完全版で

十二国記は、講談社版と新潮社版が存在します。

さらには講談社版も二種類あったりします。

でも!これから読むなら絶対に新潮社文庫・完全版がおすすめ!

 

  • 新潮社文庫・完全版でしか発行されていない巻がある
  • これから出版される新刊はすべて新潮社文庫・完全版である
  • 挿絵が繊細で美しいこと

 

これらの理由から、これから読むなら、新潮社文庫・完全版の一択だと思います。

 

十二国記を読む順番は

1章:月の影 影の海 上下
2章:風の海 迷宮の岸
3章:東の海神 西の滄海
4章:風の万里 黎明の空 上下
5章:丕緒の鳥(短編)
6章:図南の翼
7章:華胥の幽夢(短編)
8章:黄昏の岸 暁の天
0章:魔性の子
10章:白銀の墟 玄の月 ①~④

 

エピソードゼロの『魔性の子』をいつ読むかはお好みによりけりだそうなんですが、いちばんスタンダードな読み順は上記な感じらしいです。

壮大すぎる大人向けファンタジー小説『十二国記』を死ぬ前に一度は読もう

こんなにたくさんシリーズが出ていたら尻込みするわ・・・という方、ぜひ第一章の『月の影 影の海 上下』の2冊だけ読んでみてほしい!

 

実は私もまだこの2冊を読み終えた時点。←

 

章ごとに読み切り形式になっているみたいなので、陽子の章である『月の影 影の海 上・下』だけでいったん陽子の話は完結するので。

 

下巻のラストらへんがマジで圧巻の嵐だったよ~!!

今すぐビター&シリアスすぎるファンタジー世界へGo!

 

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