『百瀬、こっちを向いて』の著者である中田栄一さんが、実は乙一さんと同一人物だって知ってました?
こんにちは、パンナです。
何か小説読みたいな~とアマゾンで探していたら、『百瀬、こっちを向いて』が評価が高かったので、いつか読もうとブックマークしておいたんですね。
元ももクロメンバーの早見あかりさん主演で、映画化もされている作品。
でも、私今恋愛小説読みたい気分じゃないし・・・トレンディドラマのような(?)普通の恋愛小説って趣味じゃないし、と読むのをちゅうちょしていました。
でも、そのあとで、実はこの本の著者が『暗いところで待ち合わせ』で有名な乙一さんと同一人物だって知ったのです。
乙一さんは、その他にも山白朝子という名前でも本を出版されてます。
ところで、乙一さんといえば、ホラーともミステリーともファンタジーともつかぬ、とても独特の文章を書かれる若き天才作家さん。
一言で言うと、「狂気」という言葉が浮かぶ作品が多い印象。
なんといっても、16歳で初めて書いた小説が『夏と花火と私の死体』という死体が主人公の作品ですからね。
初作品が死体目線から語られるサスペンスですから、変わっています・・・・。
普段恋愛小説はあまり読まない私も、この人の書いたものなら読んでみたいと思い、さっそく購入してみると、そこには短編が4作品収録されていました。
アマゾンレビューでは「爽やかな読後感!」みたいな感想が多く見受けられ、「え、あの乙一が、さわやか??そんな馬鹿な」と疑いながら読書に入ったのでした・・・
結論としては、やはり乙一!!
「死体」という言葉や、二点三点するミステリー感、そしてなんとも独特な味のある世界感・・・普通のつまらない(語弊)恋愛小説では全然ありませんでした。
この短編集、とっても、とってもいい!!!!
乙一節である「ほの暗さ」や幻想感がある作品もあれば、とても愛らしくて、爽やかで、胸がきゅんとする爽やかな作品も。
収められた4作品すべてに、ミステリー要素と、驚きと、思わず笑ってしまうユーモアと、とっても味わい深い奥行きがありました。
思春期の幼い恋心を思い出してしまいました。きゅんきゅん。
さすが乙一さん、恋愛小説を書いても、やっぱり”普通じゃない“わ~。
説明しすぎない、読者に想像の余地をたっぷり残すところにも心つかまれました。
久しぶりに心から絶賛できる恋愛小説読んだな~!!
私が特に気に入ったのは、収められている4作品のうち、『キャベツ畑に彼の声』『小梅が通る』の二つです。
タイトルからしてもう、センスを感じる・・・。
かなりおすすめでございます。
ちなみにこちら『暗いところで待ち合わせ』もとっても人気の高い作品。
孤独に暮らす盲目女性の家に、殺人容疑で警察に追われている男が忍び込み、奇妙な同棲生活が始まることになる。
男の存在に気づいていく女性と、言葉を交わさないままに二人が互いに好意を持ち始める様子が描かれ、孤独で静かで、しかし心が温かくなるようなふたりのやりとりが描かれていく。
表紙は完全にホラーだけど、内容は心温まる一風変わった恋愛小説です。